さて今回は、極限の問題でよく出てくるややこしい問題を解説していきます。
基礎は、数Ⅲの極限の第1話と第2話を見ていれば十分理解できるものになっています。
それでは、やっていましょう。
受験生の2人に1人が利用する圧倒的なわかりやすさ!まずは無料でお試し。\(\infty-\infty\)の不定形の解法①(累乗根)
例
$$\lim_{x→-\infty}(\sqrt{x^2+x}+x)$$
とりあえず、不定形に見えるでしょうか?よく見ると、\(x→\infty\) ですので、\(\infty-\infty\) になっています。
第1話では、平方根があり \(\infty-\infty\) の場合、有理化をして不定形をなくすことを言いました。
それではパターン通り有理化をしてみましょう。
$$\lim_{x→-\infty}(\sqrt{x^2+x}+x)=\lim_{x→-\infty}\frac{x^2+x-x^2}{\sqrt{x^2+x}-x}=\lim_{x→-\infty}\frac{x}{\sqrt{x^2+x}-x}$$
有理化が終わりました。
次は \(\frac{\infty}{\infty}\) の極限になっていますから、この時は「分母の最高次数で割る」でしたね。
割ってみましょう。今回は分母の最高次数は1ですね。
$$\lim_{x→-\infty}\frac{x}{\sqrt{x^2+x}-x}=\lim_{x→-\infty}\frac{1}{\frac{1}{x}・\sqrt{x^2+x}-1}$$
はい!!ここでちょっとストップしましょう。
多くの人はここで混乱するんです。
$$\frac{1}{x}・ \sqrt{x^2+x}$$
↑ここに注目しましょう。
\(x→-\infty\) となっていますので、今、\(x\) は負の数であることを意識してみてください。
例えば \(-2\sqrt{3}\) で\(-2\)を平方根の中に入れてみてください。
おそらく、\(-\sqrt{12}\) と計算したと思います。
そうなんです。-(マイナス)は平方根の中には入らないんです。
これを踏まえて、先に進みましょう。いま、\(\frac{1}{x}\) は負の数なので、マイナスを平方根の外に残して、\(-\frac{1}{x}\) を平方根の中に入れましょう。
$$-\sqrt{(-\frac{1}{x})^2({x^2}+x)}=-\sqrt{1+\frac{1}{x}} $$
できましたか?
それでは、ストップしたところまで戻って進みましょう。
$$\lim_{x→-\infty}\frac{1}{\frac{1}{x}・\sqrt{x^2+x}-1}=\lim_{x→-\infty}\frac{1}{-\sqrt{1+\frac{1}{x}}-1}=-\frac{1}{2}$$
ついてこれましたか?ついてこられなかったっていう人は、何度も読み返してみてください(この話は長いですが、すごく大切です)。
\(\infty-\infty\)の不定形の解法②(累乗根)
一応、基礎だけを使うと、解法①のようにかなり計算力がいるものとなっております。
しかし実際はテクニックを使って解くことが多いです。(これが厄介で、教科書にこの解法②しか載ってない場合単なる暗記になってしまうんです。)
それではやってみましょう。
まず \(x=-t\) と置き換えるところからスタートします。
こうすることで、\(x→-\infty\) のとき\(t→\infty\) なので、\(t\) は正の数で扱うことになります。
つまり、置き換えすることで、第1話でやった解法がそのまま使えるようになるんです。
$$\lim_{t→\infty}(\sqrt{t^2-t}-t)=\lim_{t→\infty}\frac{-t}{\sqrt{t^2-t}+t}=\lim_{t→\infty}\frac{-1}{\sqrt{1-\frac{1}{t}}+1}=-\frac{1}{2}$$
どうでしょう?かなりすっきりしました。
まとめ
お疲れさまでした。
今回は解法①の計算方法は難しいのですが、是非マスターしていただきたい解法だったので、かなり詳しく書きました。
少しでも納得してもらえたらうれしいです。
解法としては②の方が当然間違えにくいのですが、解法①の方が「学び」としては多いと思います(計算力も鍛えられます。)。
解法①をしっかりマスターしたうえで解法②をパターン化して使うのがベストだと思いますので諦めずにチャレンジしてみてください。
それでは、また次回おたのしみに♪
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