さて今回は2次関数でよく行う「平方完成」について説明していこうと思います。
このページを最後まで見た人は、必ず平方完成が一瞬でできるようになるはずです。
平方完成とは
まず初めに平方完成とは何者なのかを説明します。
高校の2次関数の問題は頂点が原点にないものをよく扱います。そのせいで、2次関数の式が非常に複雑になっています。
前回お話したように、2次関数は通常
$$y=a(x-p)^2+q$$
のような形で表され、\(a\)はグラフの向き(上に凸や下に凸)やグラフの開く具合を表し、\(p\)と\(q\)はそれぞれ頂点の\(x\)座標と\(y\)座標を表します。
しかし、実際に問題を解くときには、
$$y=ax^2+bx+c$$
のように、少し違った形(頂点が見えない式)で出題されることがほとんどです。
2次関数の問題を解くときには必ずと言っていいほど平方完成を行い、頂点の位置を特定することになります。
余談ですが、高校1年生の模試では2次関数の問題で、平方完成を行うだけで5点ほど稼げたりします。。。
ステップ0
では早速やってみましょう♪
と、その前に、この因数分解できますでしょうか?
$$a^2+2ab+b^2$$
どうですか?正解は・・・
$$(a+b)^2$$
です。できましたか?
ちなみに、平方完成の第一歩は実はこの因数分解の特徴を理解するだけで、簡単に思えてくるはずです。
この赤枠に注目してください。\(2ab\)から\(b\)つまり、\(a\)が消えて、\(2b\)は半分の\(b\)になっていることがわかります。
ステップ1
それでは、次です。
$$y=x^2-4x$$
を実際に平方完成してみましょう。
上のステップで\(a\)にくっついていたものが半分になったので、今回も同じようにやってみます。
$$y=(x-2)^2$$
できましたか?
勘のいいひとは、展開したら、元の式とは少し違うことに気づいたのではないでしょうか?
展開したら「4」が出てくるのです。そこで、つじつまを合わせるために「4」を引きます。
$$y=(x-2)^2-4$$
これで完璧です。ちゃんと頂点も(\(2,4\))と分かります。
ステップ2
ここまで出来たらマスターまであと少しです。
ん?ちと、面倒?そういうと思って、今回は「型」を教えます。
「えっくすのけいすうをはんぶんにしてにじょうをひけ」
ん?じゃ、行きますね
実際にやってるのは、これだけです。
ステップ2(練習)
いくつか練習してみましょう♪
$$y=x^2-2x=(x-1)^2-1$$
$$y=x^2+6x=(x+3)^2-9$$
$$y=x^2+5x=(x+\frac{5}{2})^2-\frac{25}{4}$$
$$y=x^2-ax=(x-\frac{a}{2})^2-\frac{a^2}{4}$$
$$y=x^2+4x+5=(x+2)^2-4+5=(x+2)^2+1$$
できましたか?ここまでくればバッチリです。
ステップ3(完)
では、ラスト!
\(x^2\)の係数がいつも「1」とは限りませんよね?
$$y=2x^2-4x$$
を平方完成してみましょう♪
まずは、ステップ2の状況を作り出そう。
$$y=2(x^2-2x)$$
これでどうですか?一発ではできなくても、ここまでついてこられた人は、カッコの中だけなら平方完成できるのではないでしょうか?
$$y=2\{(x-1)^2-1\}$$
どうですか?中カッコを使うと、その中に平方完成したものを書きこむ形になるので、やりやすいです。
それでは、中カッコを慎重に外します。(慎重に・・・)
せっかく「2乗の場所」を作ったので(平方が完成している!)、そこは塊にして外してくださいね。
中カッコの前にある「2」を\((x-1)^2\)と\(1\)の両方に分配法則して
$$y=2(x-1)^2-2$$
どうですか?できましたでしょうか?
ステップ3(練習)
練習してみましょう♪
$$y=2x^2-8x=2(x^2-4x)=2\{(x-2)^2-4\}=2(x-2)^2-8$$
$$y=3x^2+6x=3(x^2+2x)=3\{(x+1)^2-1\}=3(x+1)^2-3$$
$$y=2x^2+x=2(x^2+\frac{1}{2}x)=2\{(x+\frac{1}{4})^2-\frac{1}{16}\}=2(x-\frac{1}{4})^2-\frac{1}{8}$$
$$y=\frac{1}{3}x^2-2x=\frac{1}{3}(x^2-6x)=\frac{1}{3}\{(x-3)^2-9\}=\frac{1}{3}(x-3)^2-3$$
$$y=2x^2-4x+5=2(x^2-2x)+5=2\{(x-1)^2-1\}+5=2(x-1)^2-2+5=2(x-1)^2+3$$
できましたか?これで平方完成マスターですね。
最後に・・・
模試の問題になると、いきなり難易度が上がります。
$$y=x^2-(2a-4)x+a^2-3a+5$$
みたいな感じに。
ただ、今回のステップを踏まえると確実にできます。
$$y=\{x-(a-2)\}^2-(a-2)^2+a^2-3a+5$$
とりあえず、半分入れて2乗引いて・・・
$$y=\{x-(a-2)\}^2-(a^2-4a+4)+a^2-3a+5=\{x-(a-2)\}^2+a+1$$
後ろの方をまとめて完成!
どうでしたか?できましたでしょうか?
平方完成は、頂点を求めるのに必要な計算法ですので、何度も練習して確実に求められるようにしておきましょう。
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