高校数学で頻繁に出てくる判別式Dっていったい何?

数学勉強法

さて、今回は2次関数や2次方程式・不等式などに出てくる「判別式」についてじっくり説明していこうと思います。

(今回、かなり基本的なお話になりますので、「判別式」って「ルートの中身」ですよね?っていう人は、「判別式」の内容がしっかり理解できていますので、これ以降読まなくて大丈夫です。)

高校数学の2次関数後半、「判別式」がめちゃくちゃ出てきますよね。

この「判別式」が何を意味しているのかが分からないと、特に2次方程式・不等式では苦労することになります。

はじめに

「判別式」とは何を判別するのか?

というと「解の個数」「解の種類」を判別するものです。

という理解では混乱することが多くあります

実際に「なんで、ここでD(判別式)が出てくるんですか?」とか、よく質問されます。

なので、今回は「判別式」とはいったい何なのか?について触れていこうと思います。

これがわかれば、「ここで判別式は当然だ!」「もしかするとこんな書き方もできるのでは?」

なんて「判別式マスター」になれるはず。。

それでは行きましょう。

解の公式の確認(中学の復習)から判別式へ

今回は「解の公式」から復習していきましょう。

なぜ「解の公式」からなのか 、すぐにわかります。

まず、「解の公式」は

$$ax^2+bx+c=0$$

に対して、

$$x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$

大丈夫ですね?

実は、解の公式の平方根(ルート)の中に入っている式=「判別式」です。

確かに、

$$D=b^2-4ac$$

になっていますね。

「判別式」で判断できること①解の個数

今回、ルートの中に入っているもの、それが「判別式」と言われるものだ!と言いました。

だから、2次方程式を考えているときにしか、絶対に出てきません

(実際に教科書にも書いてあるのですが)

今回は、『解の公式のルートの中身』ということを強烈に意識しながら、読み進めていってください。

「判別式」では解の個数(いわゆる\(x\)の個数ですね)が、わかるのでしょうか?

解の公式のルートの前には『±』(プラスマイナス)がついています。

なので、ルートの中身が0以外のプラスの数が入った時点で、\(x\)が2個出てくることになりませんか?

そうなんです。ここが意識できれば、今回はほとんど完成です。

判別式(解の個数)まとめ

ルートの中身(判別式)を一般的に「D」と書きます。

\(D>0\)のとき実数解の個数は2個・・・ルートの中身がプラスなので2個

\(D=0\)のとき実数解の個数が1個・・・ルートの中身が0なので\(x=\frac{-b}{2a}\)の1個だけになる。

\(D<0\)のとき実数解の個数が0個・・・ルートの中身がマイナスになってしまい、実数解が出てこない

(参考)数学Ⅱの複素数という単元では、ルートの中身がマイナスになった解を実数解ではなく、虚数解といいます。

「判別式」で判断できること②グラフと\(x\)軸との共有点の個数

「判別式」は他にも、2次関数のグラフと\(x\)軸との共有点の個数の時にも出現しました。

その理由について書いていこうと思います。

皆さんは

\(y=x^2-4x+3\)と\(x\)軸の共有点の座標を求めるときどのようにしていますか?

おそらく、\(x^2-4x+3=0\)と書いて\((x-1)(x-3)=0\)

よって\((1,0),(3,0)\)と解いてくれたと思います。解の公式で\(x\)の値を2個出してくれた人も大正解です!

さて、2次関数(\(y=\)2次式の形)の問題なのに、なぜ2次方程式(2次式\(=0\))が出てきたのでしょうか?

そうです。\(x\)軸との共有点だから\(y=0\)を代入して、\(x\)座標を求めようとしたのです。

なので、たとえ2次関数の問題を解いているときにも2次方程式が頻繁に出てくるのです。

ここまでくれば、2次関数と\(x\)軸との共有点の個数を求めたいときに判別式が出てくるのも当然ですね。

グラフ同士の共有点の場合(応用)

また、2次関数と直線の共有点だったり、2次関数同士の共有点の個数でも同様のことが言えます。

\(y=x^2\)と\(y=x+2\)のグラフの共有点の個数を求めるときにどうしますか?

おそらく式をつなげて\(x^2=x+2\)として\(x\)を求めると思います。

ココで\(x^2-x-2=0\)は2次方程式になっていますから、\(x\)の個数(解の個数)を「判別式」で調べてあげれば求まります。

「個数」以外での利用①2次方程式

「判別式」は一般的に解の個数を求めたいときによく利用します。しかし、解の個数の話題以外でも出現します。

例えば、数学Ⅰではこんな時にも使ったりします。

「\(x^2-4x+5=0\)を解け」

どうですか?解の公式かな~って思ったらルートの中がマイナスになって困った人いませんか?

その通り!中学ではルートの中身はプラスのみって習っていますから、初めての人は困って当然なんです。

そこで、ルートの中身だけを取り出して、マイナスであることを説明して、実数解がない!って説明してあげるのです。

気づきましたか?そこで登場するのが、「判別式」です。

\(D<0\)より解なし!というように解答を書くのです。(平方完成して説明したりもしますが、ここでは省略します)

「個数」以外での利用②2次不等式(応用)

2次不等式でも同様な場面があります。

例)

\(x^2-2ax+1>0\)がすべての実数となるような\(a\)の範囲を求めよ。

こんなことになったら、基本パニックですよね。

今回は、基本的な2次不等式の解き方は省略して、あくまでも「判別式」のタイミングに注目していきます。

2次不等式は解くときは、2次関数のグラフで考えてあげるのがわかりやすかったはずです。

ということで、

\(y=x^2-2ax+1\)のグラフで正の部分(\(>0\))がどうなったら、すべての実数(\(x\)座標全部)になるのか考えます。

要するに、\(a\)がどうなったら、グラフ全体が\(x\)軸より上になるか?です。

・・・どうでしょうか?

グラフが\(x\)軸と共有点を持たないときに、グラフがすべて\(x\)軸より上になったのではないでしょうか?

気づきましたか?「グラフが\(x\)軸と共有点を持たないときに」ということは、「判別式」がマイナスなのです。

\(y=x^2-2ax+1\)と\(x\)軸の共有点ですから、いったん\(y=0\)を代入して2次方程式にします。

そのあと、\(x\)の値が出ないように「判別式」をマイナスにします。

解)

\(y=x^2-2ax+1とおく\)・・・(いったんグラフで考えます)

\(y=0\)として判別式をDとする・・・(\(x\)軸との共有点なので、\(y=0\)とします)

\(D=4a^2-4<0\)・・・(\(x\)軸との共有点がないようにします)

\(a^2-1<0\)より\((a-1)(a+1)<0\)

\(-1<a<1\)・・・(不等式を解きました)

まとめ

ここまで「判別式」を見てきて、「判別式」とは単に「解の公式のルートの中身」という理解の方が良さそうな気がします。

共有点を求めるときにも、いったん2次方程式の話になってることに注意する必要がありそうです。

余談ですが、2次方程式以外で解の個数の話をするときもあります。

「高次方程式」の単元なら、因数分解して2次方程式の話まで分解して考えたり、

「微分」の単元なら、グラフを考えて、\(x\)軸との共有点の話に帰着して考えたり色々です。

また、「個数」を求めたいとき以外にも、2次方程式の解の公式のルートの中身について吟味したいときなど、「判別式Dとして~」のような記述が使えそうです。

最後に・・・

今回は、判別式の定義や使い方について詳しく見てきました。

判別式の定義(意味)は、教科書の一番最初に記載されているのですが、割と読み飛ばしやすく、「個数を判別するもの」として理解してしまいがちです。

その結果、「共有点の個数」や「解の個数」を求めるとき以外に「判別式」が出てくると、途端にわからなくなってしまいます。

困ったら「定義まで戻って確認」したりしながら、勉強するといいかもしれません。(戻りすぎて先に勧めないのはダメですが、、、)

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