さてさて第3話行きましょう~。極限の計算をなるべくパターン化しながら書いていきますね。
パターン化してあるところに印(ライン)を入れてますので、コツのところだけを知りたいって方がいらっしゃいましたら、ラインを引いているところだけでも読んでいってくださいね。
ちなみに、今回は三角関数の極限について書いていこうと思います。
それでは・・・
〈プロ講師のみ〉数学が苦手な生徒のための個別塾「数強塾」三角関数の極限(基礎編)
まずは、基礎編ということで簡単に理解できるところから。
$$\lim_{x→\infty}\sin\frac{1}{x}=0, \lim_{x→-\infty}\sin\frac{1}{x}=0$$
$$\lim_{x→\infty}\cos\frac{1}{x}=0, \lim_{x→-\infty}\cos\frac{1}{x}=0$$
$$\lim_{x→\frac{\pi}{2}+0}\tan x=-\infty, \lim_{x→\frac{\pi}{2}-0}\tan x=\infty$$
感覚的には、\(\frac{1}{x}\)のところは0に収束するので、上の\(\sin\frac{1}{x}\)は\(\sin 0\)に収束するといった感じで覚えてみてはどうでしょう。
実際にグラフをコンピュータで書いてみても\(\infty\)や\(-\infty\)に近づくにつれて\(x\)軸に近づいていることが確認できます。(ここではグラフは省略します。)
残りの\(\tan x\)に関しては、\(\tan x\)のグラフを見れば明らかです。
実際に\(\frac{\pi}{2}-0\)なら左から\(\frac{\pi}{2}\)に近づけて、\(\frac{\pi}{2}+0\)なら右から\(\frac{\pi}{2}\) に近づけてみてください。
と、ここまでは納得できると思います。ここからは不定形の話にいきます。
三角関数の極限(不定形①はさみうちの原理)
早速例を見ていきましょう
例
$$\lim_{x→0}x\sin\frac{1}{x}$$
どうですか?
\(x\)は0に近づいていて、\(\sin\frac{1}{x}\)は発散する(収束しない)ので不定形となります。
しかし、ここで考えてほしいのは \(\sin\frac{1}{x}\) に関しては収束しませんが、\(-1\text{≦}\sin\frac{1}{x}\text{≦}1\)の値をとっているはずです。(そうです!\(\infty\)に発散するわけではないのです。)
-1から1周辺の数字に0を掛け算するので、答えは「0」になりそうじゃありませんか?
「数列の極限」を「関数の極限」より前に学習すると思いますので、実際には2回目の登場です、、、そうです「はさみうちの原理」を使うのです。
$$0\text{≦}|\sin\frac{1}{x}|\text{≦}1より$$
$$0\text{≦}|x\sin\frac{1}{x}|\text{≦}|x|より$$
$$\lim_{x→0}|x|=0であるから,はさみうちの原理より\lim_{x→0}|x\sin\frac{1}{x}|=0$$
$$よって\lim_{x→0}x\sin\frac{1}{x}=0$$
どうでしたか?今回は、まるっきりパターンとはいきませんが、
「0」になりそう!!じゃあ、「はさみうちの原理」で示そう!!
この考え方が必要になります。
余談(質問が多いところを深堀り~お悩み解決~)
余談ですが、ある教科書で、「数列の極限」で同じような問題が登場したとき、、以下
$$\lim_{n→\infty}\frac{1}{n}\sin n\pi$$
この問題に対して
$$-1\text{≦}\sin n\pi\text{≦}1より-\frac{1}{n}\text{≦}\frac{1}{n}\sin n\pi\text{≦}\frac{1}{n} $$
$$\lim_{n→\infty}(-\frac{1}{n})=0, \lim_{n→\infty}(\frac{1}{n})=0$$
であるから、はさみうちの原理を用いて
$$\lim_{n→\infty}\frac{1}{n}\sin n\pi=0$$
のような形で説明されていて・・・
「関数の極限」では、絶対値を使って説明されているものがあります。
この違いについては以下の理由があります。
- 数列の極限では自然数\(n\)を使いますので、一般的には正の数を使うので絶対値は必要ない
- 関数の極限では正負両方の数を扱うので式変形が面倒(ただし、正負が判断可能な時はそれほど面倒ではない)
主にこの2点です。
今回の「例」では\(\lim_{x→0}\)となっていますので、正負は不明。
なので、絶対値を使わないならば、\(x>0のときとx<0\)のとき別々で記述する必要があり、右側極限の値と左側極限の値が一致することを確認して収束する値が決定するという流れになります(すごく面倒・・・)。
実際に書いてみると
$$-1\text{≦}\sin\frac{1}{x}\text{≦}1において$$
$$x>0のとき-x\text{≦}x\sin\frac{1}{x}\text{≦}xとなり$$
$$\lim_{x→+0}(-x)=0,\lim_{x→+0}x=0であることから、はさみうちの原理より\lim_{x→+0}\sin\frac{1}{x}=0$$
また
$$-1\text{≦}\sin\frac{1}{x}\text{≦}1において$$
$$x<0のときx\text{≦}x\sin\frac{1}{x}\text{≦}-xとなり$$
$$\lim_{x→-0}(-x)=0,\lim_{x→-0}x=0であることから、はさみうちの原理より\lim_{x→-0}\sin\frac{1}{x}=0$$
$$となることから\lim_{x→-0}\sin\frac{1}{x}=0$$
・・・長い!!
ということで、\(\lim_{x→0}\)で\(x\)の正負が不明で、かつ「0」に収束しそうなときは絶対値を使うことをお勧めします。
おまけ
もう一つやってみましょう。先ほどのことを踏まえて、、、
例
$$\lim_{x→-\infty}\frac{\cos x}{x}$$
どうでしょう?
この場合、もちろん絶対値を使って解いても構いませんが、今回 \(x→-\inftyなのでx<0\)ですよね?ということは、
こんな感じでどうですか?
$$-1\text{≦}\cos x\text{≦}1において$$
$$x→-\inftyよりx<0なので\frac{1}{x}\text{≦}\frac{\cos x}{x}\text{≦}-\frac{1}{x}$$
$$\lim_{x→-\infty}\frac{1}{x}=0,\lim_{x→-\infty}-\frac{1}{x}=0となり、はさみうちの原理より \lim_{x→-\infty}\frac{\cos x}{x}=0$$
どうでしょう?
おさらいすると、
まず、分子は-1から1までの値で分母が限りなく大きな負の値に発散なので、「0」に収束しそうなので、はさみうちの原理!
次に、今回は負の値と判断できるので不等号の向きに気を付けて挟む!(絶対値を使う場合不等式の向きを意識しなくて構わない)
両端の極限を取って極限値を求める!
まとめ
今回は三角関数でも「はさみうちの原理」を適用するものの計算について書いてみました。
三角関数の極限に限らず、「はさみうちの原理」を使うタイミングは、「〇〇の値に収束しそうだが記述しづらいなあ」というときです。
なので、今回だと
「0」になりそう!→記述できない!?→はさみうち!!
これで完璧。
それでは今回はこの辺で休憩です。ここまで読んでいただきありがとうございます。そしてお疲れ様です。
また次回お楽しみに~♪
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