今回は、数学Ⅲで一番適当にやってしまいがちな極限について触れていこうと思います。
極限って習い始めのころはほとんど感覚でも解答できてしまうので、解き方に気を配ることをしない人が多いんです。
しかし、それではいわゆる不定形の型が出てきたときにテキトーに式変形をして、不定形が別に解消されてもいないのにテキトーに答えを書いてしまって、当然のことながら不正解!なんてことになりがちなんです。
今回は、そんなテキトーにやってしまいがちな極限という単元について、なるべくパターン化しながら簡単なものから書いていこうと思います。
教科書でサラッと書いてある内容を細かく分析しながら書いていきますので、超絶苦手な人でも大丈夫なはずです。
それでは・・・
\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形(分母分子は整式)
一番最初に習うであろう不定形。
この場合は分母と分子の次数に注目するとわかりやすい。
分母の次数の方が大きいときは0に収束。
分子の次数が大きいときには\(\infty\)に発散。
分母と分子の次数が同じときはある値(定数)に収束。
以上です。
例
$$\lim_{x→\infty}\frac{x^2+x+1}{x^3+x}$$
この場合について考えてみましょう。分母が3次式で分子が2次式だから0に収束しそうですよね(←これでは記述できない)。
ここからは不定形を回避できるように式変形をしていきます。
まあ、これが記述するうえで一番大事なんですが、、、
収束する場所を作って不定形を回避していく!計算できるように収束する場所を作っていくんです。
実際にやってみましょう。
$$\lim_{x→\infty}\frac{x^2+x+1}{x^3+x}= \lim_{x→\infty}\frac{\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}+\frac{1}{x^3}}{1+\frac{1}{x^2}}=0 $$
どうですか?ごまかしていないでしょう?
分母が0にならないように収束する場所を作りながら計算することができました。
何をしたかというと、「分母の最高次数で割る」つまり今回だと\(x^3\)で分母分子を割ることで、収束する場所を作ったのです。
\(\infty-\infty\)の不定形(累乗根あり)
次に \(\infty-\infty\) の不定形で一般的なルートが入ったものを考えましょう。
例
$$\lim_{x→\infty}\sqrt{x^2+1}-x$$
どうですか? \(\infty-\infty\) の形だけど \(\sqrt{x^2+1}\)と\(x\)って同じくらいの数だから0っぽいですよね。
でも、そのまま書いたら、そりゃ感覚だから記述だと点数がつかないですよね。
こういう時は
$$\lim_{x→\infty}\sqrt{x^2+1}-x=\lim_{x→\infty}\frac{x^2+1-x^2}{\sqrt{x^2+1}+x}=\lim_{x→\infty}\frac{1}{\sqrt{x^2+1}+x}=0$$
どうですか?ごまかしていないでしょう??(2回目)
今回は分母1の分数ととらえて、分子を有理化して収束へ導きました。有理化すると分子は1となり分母は\(\infty\)に発散するのでこれは間違いなく0に収束します。
今回のまとめ(融合問題)
今回は一発目なんでここらへんで上の二つの融合問題を解いて終わりにしましょう。
例
$$\lim_{x→\infty}{\sqrt{x^2+2x}-x}$$
どうです?さっきと同じに見えますか?
さっそく記述してみましょう。
$$\lim_{x→\infty}{\sqrt{x^2+2x}-x}=\lim_{x→\infty}\frac{x^2+2x-x^2}{\sqrt{x^2+2x}+x}=\lim_{x→\infty}\frac{2x}{\sqrt{x^2+2x}+x}$$
はいっ!ストップ!!!
ここまでが有理化の部分です。確かに\(\infty-\infty\)の不定形は回避されました。
しかし、困ったことに、\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形が表れてしまいました。
まあ、ここまで読んでくれた人は楽勝♪って思うかもしれませんが、最後まで行きましょう。
$$\lim_{x→\infty}\frac{2x}{\sqrt{x^2+2x}+x}=\lim_{x→\infty}\frac{2}{\sqrt{1+\frac{2}{x}}+1}=1$$
できましたか?
分母は最高次数(ルートがあるのでわかりにくいですが)1ととらえてもらって、分母分子を\(x\)(分母の最高次数)で割りました。
これで、ごまかしなく計算できました。
どうですか?今までフワフワと感覚で記述していた人が、しっかりと極限を計算している!という感覚になってくれれば幸いです。
極限の計算はまだまだ奥が深いので、また書こうと思います。次回もお楽しみに。
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